nobody hurts

October 7, 2010

20101007 (b)

中身のない外側と内側。



通信が、通信機が、指先から離れ脳を下ってそのまま肌に触れるような通信が、風を利用した通信が風上に立って風が彼女の髪の毛を撫ぜているのをみているような通信が、髪の毛である通信が、さらさらと流れる通信が、無線機であると同時に無線でもあるような体が暗号を解読している。


朝食が、小銭が、豆が、卵が、豚肉が、珈琲が、眠っている体が、眠っている体のなかで辛うじて目を覚ましている意識が、もしきは意識の思い出のようなものが処理している現在進行形の現実が、現在進行形の思い出が、益体のない考えが、未来進行形の過去が今日を始めている。


知性が、知性を同定している想像力が、つまり何もない場所に引かれた一本の直線が、場所さえも必要としない一本の直線が、始まりも果ても存在しない一本の直線が、その直線により分かたれた内側と外側が、つまり中身のない内側と外側が、外郭だけある中身が無と無を繋ぐ線を引いている。

20101007 (c)

人称として割り切ることのできない「わたし」。



通りの名前や、今はまだ名前だけ存在する通りや、現在だけを変わらず現在だけを決定している未来や、今はまだ名前だけしかないその通りを昔から当たり前のようの行き来している人々や、名前だけしかない道を行き来して結局その名前とは何もかもが違う道をともかく切り拓く少年。


少年の名前や、少女の名前や、彼や、彼女や、あなたや、あなたがあなた以外の者として知るあなたや、あなたがきっとわたし以外の者として知るわたしや、この文章を書いている者ではないわたしや、人称を破棄した者としてあるわたしや、人称として割り切ることのできないわたし。


電子音と雨だれや、電子楽器に雨が降っている音や、空を見上げる人々や、ぬかるんだ足下や、電子音みたく聞こえる雨だれや、雨として降る蒸発した皮膚が形作る肉体や、内側の肉体が蒸発してその上に形成される皮膚や、皮膚から立ち昇る湯気や、熱気と寒気を足して正気で割ったもの。

October 6, 2010

20101006 (a)

雨に宿る。



芯で描いている線と、線を形作る筋肉や血管や目に見えない信号を伝える目にも見えないし決して存在もしない様々な線と、体の中を降る雨と、そこにある体の分を空から降下する経験をしている雨と、もしくはそこにない雨の分を暮らしている体。雨を避けるのではなく雨に宿る。


昼間に集まった夜たちと、不健康で無軌道な昼の夜と、眠り込んだまま夢遊病患者のようにふらついている昼の夜と、寝過ごしたまま待ち合わせ場所に姿を現わしもしない昼の夜と、そのまま夜になるまでその場でくだを巻く昼の夜たち。もしくは取り合えず帰って寝る昼の夜たち。


速度と音楽と、雨の砕ける音を聴いて雲の形を思い浮かべている食卓と、もしくは食卓に用いられている木材を育てた雨の総量と総体と一滴一滴の個体を弾き出している屋根裏部屋や、屋根裏部屋から降る雨を集めて育った一軒家。

20101006 (b)

体内に閉じ込められた外界。



状況の舞踏が、もしくは混同の舞踏が、ありとあらゆる舞踏を追いかけた後に手足の新しい伸長を獲得するための舞踏が、もしくは手と足とそれらをつなぐものをもう一度新たに定義し直すための舞踏が、つまり手と足によって引き直された体の線がひとがたの何かを踊っている。


秋に舞っている夏の点により自在に引かれた春の線が、その線によって閉じられた面が、それらの面が集まって閉じる立体が、その立体の閉じ方を指示している秋の点の舞いが、その点がその上で踊っている線や面や立体が探しているその一点が冬支度を始めている。


遠くに感じられる疲れを踊っている体が、体内に閉じ込められた体が、体内に閉じ込められた衣服が、体内に閉じ込められた外界が、手元の外界の手元で書かれているこれらの文字が、外界で握られている筆が、ある意味では外界である脳内が外側の内側や内側の外側を引き直そうとしている。

20101006 (c)

言葉や言花。



声や人通りや夜の明るさや、昼の鏡に映った夜や、夜の鏡に映った昼や、夜の鏡に映った昼の鏡に映った夜の中で眠れずにいる事や、その一つ手前の夜の鏡に映った昼の中で居眠りをしている事や、鏡の外の夜で実際に寝ないでここにいる事。もしくは単に眠っているのかも知れない事。


曲名や歌詞や、史実や、虚構のうえに築かれた正史が、その正史の中で実際に出会い傷付け合う他者同士や、誰かと誰かが出会わない事の軽さや、誰かと出会った事にも気付いていない誰かや、誰かであることに気付いた誰かや、つまり自分自身に辿り付き今度は自分自身に追われる誰か。


花の名前や、匂いの地図や、携帯の機種や、写真や、焼き付けた印象を景色から切り抜いた写像の地図や、その手前にある全体や、言葉や、匂いをじっと見つめている言葉や、花の名前みたいな言葉や、花言葉があるように言葉に言葉があるような言葉や、言葉や言花。

October 5, 2010

20101005 (a)

媒体としての感情。



季節と画面と表紙と鞄と光学と、省略された省略と、完全な省略から逃れてここにある或る省略と、もしくは省略の様式と、展開が圧縮であるような省略と、または圧縮が展開であるような省略と、もしくは省略された圧縮を展開して生じたような省略。


媒体を媒体として用いる作法を予め知っている子供たちと、もしくはそれを学びながら実践している過程と、人格という媒体と、媒体としての感情と、徹底的に醒めたものとして保存している熱量と、その熱量を醒めたものとして保存するために必要とされる熱量から生じる熱量。


ちまたに浪漫と呼ばれる媒体としての感情と、感情を物質として取り扱うための作法と、そのようにして感情を消費され得ぬものとして確認し保存するための表現と、共有の諦めと、何かを共有しているという淡い希望を共有しているという媒体。

20101005 (b)

想像力であると想像されているだけのものかもしれないもの。



境界線であったものが、境界線を道具として用いるものが、境界ではなく当たり前のように越境として働く身体が、この現在において過去か未来から亡命してここにある肉体が、そのように収斂された予感の可能性として分散し続ける存在がある二つの要素をある二つの要素としてみなす。


濃縮された限界が、また限界を濃縮することの限界が、限界まで濃縮された限界をまたぐものが、つまり限界を濃縮することにより常に限界を踏み越え続ける限界が、常態としての限界がとかぬるいことを言っている暇があるうちはまだ何かは可能なのだと確信しました。


文化ではなく態度が、その媒体としての文化が、熱量を物質として保存する時に生じる熱量によってのみ勝手に伝わる熱量が、そこから喚起される想像力が、それとも未だ僕が想像力であると想像しているだけのものかもしれないものが踏み越えるべき一線を自らの背後に引いている。

20101005 (c)

終わりに新しい名前をつけることにより始まりがずっと続く。



踏切や、ずっと電車を待っている人影や、まず始めにあった荒野や、その人影がどこかから集めてきた石材や、その人影が自分で遥かから此方まで敷き詰めた線路や、その人影が書いた時刻表や、その人影がそのように自ら築き上げた一つの駅や、その駅に電車がやって来るのを待つ人影。


溜息に吹き消された溜息や、新たな息を吸い込むために必要とされていた溜息や、木々がついた溜息のような秋風や、秋風や溜息に回る風車や、風車の回転を動力に走り始めようとしている一両の列車や、列車が必要としている乗客や線路や、もしくは乗客という概念を知らないその列車。


自ら築き上げた駅にやってくる列車を待っている人影や、どこかで走り始めている列車と同じく乗客という概念を知らないまま列車を待つその人影や、乗客という概念や、始まりという概念のない終わりや、終わりに新しい名前をつけることにより始まりがずっと続いていく日々。

October 4, 2010

20101004 (a)

光景である何かをまず初めに始めた瞳。



風速と、時速と、右手と、硬貨と、銅貨と、財布と、携帯と、帽子と、秋物と、新作と、古着と、紙巻と、電車と、電線と、展示と、約束と、新宿と、書店と、階層と、連結と、流速と、雑踏と、街灯と、演奏と、外壁と、拍手と、逍遥と、帰路ではなく旅路。


呼び声の秋と、液体の空と、気体の酒と、固体の心と、鍵と鍵穴と、柑橘系の瓶と、瓶から蓋をもぎ取って瓶を囁き声で満たそうとしている舌と、舌先と、気がつけば耳から鳴っていた音と、誰もいない無人の劇場に迷い込んだ人影と、誰もいない無人の劇場を今でも彷徨っているその人影。


缶と、とある伝説の街角と、もしくはとある伝説の街角候補と、前触れと、光景である何かをまず始めに始めた瞳と、未だ光景である何かを掴み切っていない記憶と、自分と視界のあいだにある距離を押し出し続ける歩幅と、石の森と、石の森を伝い濡らす雨。

20101004 (b)

過ぎたいつかの時間のなかで居眠りをする。



辞書が、過ぎたいつかの時間のなかで居眠りをしている目の前の学生が、揺れている首が、時間に対して頷いているように見えるその顎が、何かの難しい公式を暗誦している唇が、その公式のなかで語られているまた別の物語が、その物語がこの物語について語っているのが分かる。


数式や幾何に言葉を代入して彼や彼女を弾き出すような物語が、前のめりの感傷が、前にのめってみて初めて感傷であると思える速度をその手前でとどめて未来へののびしろを確保しようとは絶対にしない語り口が、下らない冗談が、本文が、余白が、一人称が今でも未来に向けて伸びる。


特に検討し直す必要もなかった日程が、特に作戦を必要としなかった作戦が、合図なのか決行そのものなのか分からない本当に数多くの片目の瞬きが、誤訳の結果真実となったものが、一冊の辞書である本が、事象である本が、自称するところの本が書かれたことを知っている。

20101004 (c)

鳴っていないことを楽しむ音楽。



石や形や滝の空に触れようとして既にそれを超えている格好ばかりつけた後ろ姿や、今までに通り過ぎてきた余りにも沢山の後ろ姿や、目で楽しむ音楽や、肌で楽しむ音楽や、形そのもので楽しむ音楽や、音楽であることにより音楽を最大限に楽しむ音楽や、鳴っていないことを楽しむ音楽。


波や、銀幕や、銀幕の波や、うねりや、純粋なうねりや、そのうねりのなかで変化する遠近法のなかでうねる消失点から現れる消失する点や、その点を視野に入れて路地に沿って並べられた椅子や食卓や、楽しく語らいながら飲み食いする人々や、遠くの海や、遠くの波や、遠くの予感。


月日のように流れている時間や、唇のように開閉している昼夜から零れている予感の名残りや、予見や、予見の常に一歩先を歩き続けるための予見や、何かが分かった時に灯る静かな電球のその光りで楽しむ影絵や、例えばその影絵の一環であるそことここに同時にあるこれらやそれらの音。

October 3, 2010

20101003 (a)

瞬間よりも狂いのない。



反復する声に重なる管楽器と、秋と雪と、春と修羅と、ある曲の終わりから始まる瞬間と、ある曲の終わりから続いている瞬間と、あの曲とあの曲の終わりから続いてきた瞬間と、まだずっと始まっていない曲の終わりからずっと続いているこの時間。


踊りの直接的な解釈と、解釈と背中合わせの背中と、自分の背中と背中合わせの背中と、瞬間に拘束された瞬間と、瞬間を解体するための瞬間よりも狂いのない何かと、その次にくるであろう瞬間よりも狂いのない何かよりも狂いのない何か。


そのようにして探し出される瞬間よりも狂いのない瞬間よりも狂いのない何かと、瞬間よりも狂いのない何かよりも狂いのない何かが抗いようもなく含んでいるような誤差と、そのわずかな誤差のなかで育つ正確さと、正確であることの例外的な規則、または事故。

20101003 (b)

あるようでないかのようにない。



運動が、群青が、びしょ濡れに青い雲が、珍しく雨を含んでいないびしょ濡れに青い雲が、びしょ濡れに青い飛行機雲が、びしょ濡れに青い飛行機が、びしょ濡れに青い乗客が、びしょ濡れに青い空港や港が、びしょ濡れに青い旅券が、びしょ濡れに青い服が血液を含んで重い。


秋が、浸透する色が、もしくは色に浸透するものが、夜が、本来の形質である夜が、一夜ずつ降り積もって何千年も積み重なった明け方の冗長な空気が、明け方の白け切った空気が、散り散りになった前後が、翼みたくある左右がはばたく中心があるようでないかのようにない。


世界で一番小さい秋が、松の木が、松の木ではなく松の木の匂いを含んだ襟首が、襟首に手を回す抱擁が、その匂いを小さく包み込むものが、その匂いを小さく包み込む玄関口が、蛇口から水滴の垂れる音が、便所で水が流れている音が、どこかで何かが燃えている音がするけどそれはずっと見つかっていない。

20101003 (c)

新月の名残り。



目眩や、空腹や、個人的なあれこれや、柑橘類の果汁や、半月の名残りや、新月の名残りや、今からすでに名残りだと感じているものの名残りや、どこまでを瞬間と呼ぶか決めかねている数々の瞬間や、そのようにして保存されたもののように生成される数々の瞬間とひとつの時計。


何もかもや、よりすぐりの何もかもや、洗濯ばさみに挟まれた何もかもや、冷蔵庫のなかにある何もかもや、洋服棚のなかの何もかもや、何もかもに含まれていない何もかもや、例えば自分がそのなかに含まれていないというような何もかもや、過去の何もかもや、まだないものの何もかも。


汗を乾かす風や、風に乾いた日差しが乾いた夜道や、昼夜逆転している夜道や、歩幅を手洗いしているような夜道や、光りをまとったほこりが舞っている夜道や、昼の夜道を進む秋や、昼をひとつだけ多く含む永遠や、夜をひとつだけ多く含む永遠や、反復を予期させる奇妙な永続感。

October 2, 2010

20101002 (a)

ひとのかたちをしたうごき。



群衆と靴音と、目を閉じた際の音響に匿われている夜景と、一枚の硝子のような夜景と、もしくは無数の硝子のような夜景と、幾つもの光景を同時に見ている一つの視線と、ひとつひとつの光景のなかで別々の人称を持っているその視線と、ひとつの視線と複数の人称を共有している雨。


紙切れと電光掲示板と、駅前の巨大な水たまりと、駅前の巨大な水たまりに映る曇り空と、曇り空の下で駅前の巨大な水たまりにの中でだけ降っている雨と、水中の雨と、都会の雨と、雨の都会と、風雨と、風が降っている水たまりと、光景が結晶したように見える水たまり。


ひとのかたちをした動きと、獣の皮膚のその表面の様子を踊りの様式で追いかけているひとのかたちをした動きと、雨が降るさまを布団のうえで追いかけているひとの形をした緩慢な動きと、映像や消滅に逆らいながら人間の動きを街中で追いかけているひとのかたちをした動き。

20101002 (b)

静止軌道を自由落下する銃弾。



誰かに見られているという感覚が、誰かに見られている自分を視る訓練が、誰かに見られている自分を見ている誰かを見ている誰かが、秘密が、もしくは秘密ではないものが、謎が、それか答えが、客観性だけを透す窓硝子の向こう側の自分の姿が自分を見ている。


情報が、十月が、真っ逆さまに落ちていく空が、一粒の雨が、空気と光りに埋もれた秘密の通路が、言葉として収束する物理が、工学が、光学が、望遠と広角が、望楼と方角が、蟻が、土が、草が、肥沃な土壌の不毛な歳月が、不毛な土壌の肥沃な歳月が忘れたものをかわりに覚えてる。


座ったまま踊っている体が、もしくは踊ったまま踊っている体が、踊っている体を追いかける火の粉が、走査された赤い点が、火の粉の形をした雨粒が、もしくは筆先の形をした雨粒が、眼球の形をした雨粒が、大気圏の形をした雨粒の静止軌道をあの銃弾が自由落下している。

20101002 (c)

掠れた声の掠れた感じ。



ひとのかたちをした動きにより吹き消された壁の影や、始終ありとあらゆる影を吹き消し続けるひとの形をした動きや、あらゆる影の形を整えているひとのかたちをした動きや、ありとあらゆる影の形を整えると同時にそれを吹き消し続けるひとのかたちをした動き。


掠れた声の掠れた感じや、遠い車道や、電線や、窓枠や、開いた扉の開いた感じや、階段や、蛍光灯や、廊下や、消えた蝋燭の消えた感じや、消えてしまった蝋燭のひょっとしたら消えてしまったのかもしれない感じや、もしくはまだそれが灯ってもいないのかも知れない感じ。


うつろを満たしている体温や、うつろを満たしている体温を身にまとってありとあらゆる影を吹き消しているひとのかたちをした動きや、影を吹き消そうとしてみずからを掻き消してしまう境界線上にある体温や、いわばみずからを吹き消そうとする息の力で再び膨れるうつろ。

October 1, 2010

20101001 (a)

ずっとそう。



装いと警備隊と重火器と秋とちりと、軍手と襟巻きと思い思いの音楽と、大騒ぎのなかで繋いでいる手と手と、手の汗と、軍手に吸収される手の汗と、汗と汗が絡まって生み出される新しい液体が滴る地面の鋪装の乾いた艶と、足下から湧き上がる不思議な力と、聞こえる範囲の叫び声。


叫び声の半径と、夜が破壊されて道端によこたわっている白日と、日々の緩慢な騒ぎの行く先と、包囲や解放と、要求や譲歩と、隊列に意味を見出すのではなく幾枝にも分岐したその始点たちと、つまりは逆算された帰り道と、逆算された帰り道から逆算している明日の方角、ずっとそう。


肌に満たされて酸素の薄くなった街路と、同じく肌に満たされて酸素が濃くなった回路と、汗で駆動する機関と、手汗で駆動する機関と、意味もなく生き延びていることの静かな感傷と、意味もなく生き延びていることのことの感傷的ではない静けさと、ふと我に返させられる空砲の響き。

20101001 (b)

情報が情報であった日のように。



九十年代が、情報の扱い方が、常に未来を参照させた情報が、その意味では常に未来からこちらの行動を縛っているようだった情報が、情報で踊るような音楽のような時代が、あの時に既に分散したものとしてあった現場が、生活が、まぶたが感光し続けて白いからまだ書けるが影に注意。


情報が情報であった頃が、消滅を透かして眺める人通りが、つまり消滅を書き留める事により生じる阻害が、その阻害によって生じる意味の透過作用が、伝達が、誤訳が、もしくは試訳が、何もない空っぽの体が、そこを通り過ぎていく明澄な光りや音が答案に名前だけ書いて提出する。


危ない道が、知らない道が、小説のなかに書かれている道が、小節のなかに連ねられている道が、道であると主張された足跡のただひとつが、弦のうえの道が、溝の上の道が、打鍵音の上の道が、文字の一画一画の線を辿る道が、喉を通る道が、それから血管を通る道が一時的に道を通る。

20101001 (c)

平行線と無線。



飛行機や、整理された飛行機や、上空を通り過ぎる足下や、幻のような瞬間や、飛行機や、幻から幻にむけて飛んだ飛行機や、爆発や、火災や、壊滅した街路に接続された壊滅した街路や、上空を通り過ぎていく手元や、上空を通り過ぎて行った目元や口許。


街から街や、港から港や、扉から扉や、終止符と終止符のあいだや、次の終止符とその次の終止符のあいだや、上体を倒して膝で受け止めている手のひらや、手のひらから滲む体重や、その重さを軽さに変える装置の重さや、暗い野外の野球場や得点板や、ひとけのない放送席。


箱に入った朝食の形で牛乳と一緒に飲み干した装置や、日のあたる日陰でくつろいでいる気温の上下や、全音符や、横隔膜から気道そして声帯を通して美しい曲線を獲得した歌声や、美しい曲線を描く美しい直線や、平行線どうしをせめて傾けてみる無線。