20100831
「振動板が聴いてる音に興味があるの」
★
それぞれが無に対して抱く原風景と、それぞれ色とりどりの不滅と、時間と速さを競っている景色と、風速と速さを競っている風と、鼓膜みたいに震えている振動板と、振動板が聴いてる音に興味があるのと呟いている足音と、中音域で表現された高音域の粗さと低音域の平坦さ。
これってまるで音楽みたいじゃないと皮膚感覚を軸に脊髄を楽しんでいる足音と、それはまるで心みたいだねと目の裏の夏を月光の日差しで受け止めている靴紐と、それはそれはまるで体みたいなことばかり言ってと悪戯げな口調の足音と、日差しの記憶で影の再現を試みている夜の路上。
高音域で表現された掠れた低音域と、低音域で表現されたくぐもった高音域と、風景のない音と、響きのない光りと、足下のない地面と、頭上のない空と、映画のない字幕と、人称のない声と、風速のない風と、記憶のない懐かしさと、旅のない行き先と、もしくは家のない帰り道。