nobody hurts

June 30, 2010

20100630

入場するとそこに立っている逆光の姿。



手元で眼球をもてあそんでいるみたいな広場と、斜めから切り込む柵と、椅子の青と赤と、色の緑と、白の綿花と、空気の色の全てと、いま覚えている全てと、まだ覚えていないことの全てと、この先忘れていくことの全てと、投函していない手紙が届くのを待つ人と、投函されていない手紙が届くのを待つ人。


手紙みたいな眼球が選んだお気に入りの窓際と、その外でたっぷりと空まで水に浸かった景色と、酸素を意識した呼吸と、呼吸を意識した胸元と、胸元を意識した夏服と、夏服を意識した初夏と、初夏を意識した夏日と、夏日を意識した低温と、低温を意識した低音と、低音を意識した歳月と、歳月と数行。


入場するとそこに立っている逆光の姿と、そいつが写り込む雑誌の見開きと、その見開きが閉じられた膝を包む繊維と、それぞれの波頭で過ごす昼夜と、昼夜で過ごす床の上の徒労と、床に座り込んで机の上をまさぐっている不眠症患者と、眠りが眠っている不眠症患者の眠りと、誰かの別の人の目覚め。

June 29, 2010

20100629

さざめきを見ている心でさざめいているさざめき。



珈琲と眠気と夢とうつつと、景色の内側から見たまた別の景色と、時間の内側で流れているまた別の時間と、誰かの冒険の内側のまた別の誰かの冒険と、中心への絞りを意識しながらも周縁のさざめきを描き出す体験と言葉と回想と生存と、中心への渦を描きながら回想の周縁でさざめいている生存。


生存の縁で消失を追いかけている視覚と、視覚をせきとめている比喩や執着と、別の弾道を計算している弾道と、別の弾丸を計算している弾丸と、別の指先を計算している指先と、携帯電話で話している男と、奥の机で地図を睨んでいる若者の一団と、背景音楽と、朝食と、台拭きと、流れているただの時間。


さざめきを見ている心でさざめいているさざめきと、感情みたいな水滴と、水滴みたいな血液と、薄い空と、分厚い空気と、朝みたいな夜と、朝が更けていく一日と、一日がずっと更けているみたいな夜と、色を口に含んでただ飲み干した珈琲と、珈琲の中で鳴っている音と、椀のなかの夜空の艶と正午の傾き。

June 28, 2010

20100628

平坦な絶頂。



字幕のような何かと、なにかと思い出しがちな何かと、なにかととは何かと、視覚の縁に添えて並べた光りの懐かしさなんかと、確認みたいな認識のしかたと、そこに割り込む比喩と、その比喩同士が絡まって駆動させられた新たな論理と、論理の言語ですら相手にしたくないという強がりのような目眩。


通りで清掃車が働いている音と、市営の乗り合いと、通勤の車の音と、建物のどこかでさえずり続けている鳥の声と、月曜の朝と、光景からの眺めと、手近の朝と、手近の光景と、遠くにある自分ではない光景と、すぐそばの自分ではない光景と、朝のある粘り気の高い空気と、空気のある粘り気の高い朝。


平坦な絶頂として繰り返している目眩の単調さと、苛立ちと、光景としての完成と、結果と仮定と、息を殺してるみたいな呼吸と、目をつむってるみたいな光景と、もしくは目を開いているみたいな光景と、午前遅くから正午へと向かう急な下り坂と、そこに滑り込む電車やら車やら自転車やら街並みやら窓。

June 27, 2010

20100627

秒針の両側で切り取られた半日。



線と色と空気の傾きと白黒の陰影と、街の夜と、週末と自転車と、暴動のあとみたいな路上と、空き瓶と紙切れと、一列になって通りを穏やかに鎮圧している警官と、単色の景色とそこに重なる様々な色の光りと、ある時刻が持つ特有の輝きと陰りと、ある時刻の深くて薄っぺらい無人の静けさと、後ろの正面。


工場の低音と、社会的な風景と、石に沈められたまま服となって踊っている繊維と、意匠と、印刷と、醸造酒と、階段と、階段を切り抜いている空間と、空間の外壁と、躯体と、外装と、夜風と、星々の足下と、都市の埃と、体内の涙と、靴の中の足下と、床と、床の地平線と、内装と、屋号と、震動する建物。


耳の両側で切り取られた音と、音の両側で切り取られた音と、耳と音の両側で切り取られた曲と、曲の両側で切り取られた過去と未来と、過去と未来の両側で切り取られた一連の合図と、合図の両側で切り取られた瞬きと、瞬きの両側で切り取られた秒針と、秒針の両側で切り取られた半日と、半日の両側。

June 26, 2010

20100626

祝日みたいに入り組んでいる平日の縁。



足首あたりに来るあたりの時間あたりの勾配あたりと、電車の扉の開閉と、石の壁の気配と、石の空の気配と、水性の雲と、空気圧の海と、碧い空と、碧い春と、実際の空を占めてもいない想像の空と、体の表面を追いかけている慣性と、絶対に閉じない完全な円と、時間をかけて流れている時間。


視覚の書き順と、独楽のように振れる左右と、うなずくような拍子と、肩幅と、厚みの欠如として捉えるべき奥行きと、手前でうろちょろしてる瞬きや腕や人体までの距離と、内部というものの遠さと、あっという間の長さと、夕べから深夜の時間と、関節の角度と、関節の間隔と、振り子と、握り拳と、改行。


祝日みたいに入り組んでいる平日の縁と、大文字の平日と綴る小文字と、書き手がそこにいないということにより書かれた文章と、平日みたいな週末の夜気の華々しい部分と、禍々しい記述と、忘れがたい忘却と、現在の息づかいと、どちらかが絶えず遮られている夜風と時間と、呼吸と鼓動が遮りあう内部。

June 25, 2010

20100625

ずっと落ちてない日々。



音にくぐもった昼の光りが実は沈黙のなかでずっと黙っている口の中と、ある音や言葉に対しては抵抗が少ない空気の質と、音や言葉の受ける空気の抵抗を空気の記憶に代わって聞き分けている鼓膜やらと、視覚や聴覚と交換可能な感情や思考と、はめ殺しの窓と、そのまどから実際に覗くこれらの文字列。


睫毛の空白と、空白のつけ睫毛と、空白の体と、空白にも届かなかった体と、空白で満員の体と、偶数回否定と、場面に固定された印象たちと、印象に固定された詩情と、場面の要素の順列組み合わせと、ずっと低温が塗り響いている体内と、回想の階層の上昇と、ずっと落ちてない日々。


自分である他者の可能性と、他者である自分の可能性と、可能性である自分の可能性と、肉体をどこかでひんづかんでいる自明な不透明さと、自明な透明さと、自明的に非自明的であることを余儀なくされた非自明性と、透明である事と、自明である事と、不透明である事と、線を持つ事と、逆回しの消失。

June 24, 2010

20100624

夕方みたいな昼に風を結っている枝葉。



黒目に透けた白い直方体の空間と、窓枠により幾通りにも刻まれた硝子に透けた屋外の街並みと、壁と樹木と、口のなかにずっと響いている唾の味と、夕方みたいな昼に風を結っている枝葉が緑にほころびては小さな背後の黄緑を振り返って見る木の下の長椅子と、肘や膝などで折り畳まれた蛋白質。


比喩と翻訳と、実況と回想と、実況の回想と、予言と予定と、前口上と後日談と、注釈と但し書きと、実行と黙考と、地図と現地と、設計図と現物と、目録と作品と、人物と人体と、風速と風と、時速と時と、謝辞と弁明と、実存と演技と、役柄と役者と、演奏と記譜と、複製と批評とを同時にこなす一文。


死者の役割を同時にこなす生者と、生者のなかでのみ生きる死者と、死者のための小さな鏡を洗面台の脇に置いている女と、死者のための小さな本を小脇に抱えて生きる男と、小さな鏡と小さな本と、小さな街と小さな部屋と、輪切りの温かさと、体温の倦怠と、打算と、無呼吸と、目眩と、日々。

June 23, 2010

20100623

ごめん聞いてなかったよ。



自転車で測った縮尺と、縮尺の歩幅で通り過ぎた微かな停留所と、停留所に書かれた名前でまとめらた日付と、宛先不明の記憶と、持ち主不明の忘却と、不在通知と、反復の季節と、日々の用途が鍛える習慣の反応と、反応の内側から外の手応えを探る盲の触覚と、触覚の用途の向こう側で通りを隔てる人影。


ごめん聞いてなかったよと椅子に座って静かな笑いに揺られてる灯籠の火影と、音楽に反応して歩調をばらつかせている短針と長身と秒針と、帯域によってそれぞれ別々の遮られ方でどもっている旋律と、全体の振幅を目を細めて見ている粉々になった全体の形の様々な角度からの見え方と、晩の時計の怠惰。


秒針を翻訳している時計の作動音と、電池切れの時計の壁と、かつてそこにあった人の形と、語調だけで話しかけてくる声と、語尾だけで話しかけてくる声と、角度を噛みしめている銃身と、点線を結んで直線にした時の濃淡が風となり夏至を祝う夕べと、暗器と、木霊だけを射貫く矢尻。

June 22, 2010

20100622

足音の旅。無人の体内。



足音の旅と、無人の体内と、自由と、不自由と、戦場と、真昼の夜営と、常に半日分だけ膨らみ過ぎた半月の光を頼りに自分の背中を見守っている記憶の番人と、景色に対して透明な視界と、視界に対して透明な視覚と、視覚に対して透明な選択と、選択に対して透明な可能性と、可能性にとって不透明な前提。


気絶している透明の番人と、透明の番人の透明ではない服装と、透明の番人の着替えと、透明の番人に対して透明な一人と、不透明な透明の番人と、趣味としての透明の番人と、透明の番人人形と、からかわれている透明の番人と、透明の番人気取りと、透明の番人の実りと、利己的な透明な番人と、番人の秋。


夜と草木と空気と停留所と、通りや酒場の賑やかさと明るさと、装飾の輝きと照明と、移植された椰子と、砂と、一帯のたれそかれと、舞っている砂と共に舞っている足音と、無人の体内と、体の内側の視覚の外側で生きている部分と、結果という過程と、選択の予知と、体内で育った金属と、装甲と、間食。

June 21, 2010

20100621

自分の旅人。



乗り合いの停留所の待ち時間と交通の要と、流れにふと湧いた空席と、旅を重ねる空席の行く先と、内燃機関に揺さぶられながら今はあぐらをかいている空席と、空席の髪の毛と、空席の横顔と、空席の睫毛と、髪の毛の空席と、横顔の空席と、睫毛の空席と、空席には誰がやってくるんだろうという歌声。


可能性を乗り過ごした選択と、選択を乗り過ごした可能性と、見過ごした憂鬱と、掛け違えた足跡で首まで引き上げた上着の襟元と、襟首からこぼれた夕涼の群青と、乗り合いの停留所の日陰と、旅日記の紙飛行機と、現在地の予定地へと一足飛びで駆けていく思い出と、夏のすぐそばの名前のない季節。


夜に交わる混乱と、潮騒のすぐそばの星空と、裸足の髪の毛と、上腕と、空電が夜に響かせる周波数で翻訳された鏡と、鏡に映り込んだ空席と、その空席の鏡像に別の角度から重なる肢体が組んでいる足と、遠近法の中で空と交差する辻と、その空席の隣の空席にふと重なる角度から夜を数えている自分の旅人

June 20, 2010

20100620

化粧の練習をする少女。



城内の壁に切り取られた空の端から中空と足元とを繋ぐ断面の青と、化粧の練習をする少女と、粗い金網の背後の空き缶と、狭い路地の高い空と、段差と傾斜と石の細かさと、ずっと上空の深夜に向けて折り重なった雲の影の空の折り目と、白い半月の片寄った丸さと、視覚の曲がり角で空と交差している路地。


空気の密度で耳を揺さぶっている建築の高ぶりと、吸気にもつれている壁の北の破片に消し飛びながら残骸が含み笑いをしている南向きの階段と市場と植物相の色の初夏と、橙色の葉がなびいている風速の裾から少し汗ばんだ指の形を真似て露店を幌を騒がす波紋の光と、旧市街の床石に寝転んで遊ぶ子供たち。


解像度の違いを同じ画素数の中で骨継ぎした城壁と回廊と運動靴と年号と空中の流砂と、ひとつの砂粒が保つ堅固な図形が吹き上げられた城内の西日と、揚げ物屋と土産物屋と、小冊子と釣り銭と、電話番号と中心街と、完全な半月よりはあと半日のあいだ膨らんだ月と、土地の神と、人間たちの宴。

June 19, 2010

20100619

夜空に黒く濡れた星と、光と、星に濡れた黒い夜空。



滴の朝と、砂に絡まった透明な鎖と、半分に割れた円形に切り出された石と、砂浜が好きではない運動靴と、反芻された記憶と、欲望の構造と、砂浜と、構造の欲望と、記憶された反芻と、運動靴が好きではない砂浜と、石に切り出された半分に割れた円形と、鎖に絡まった透明な砂と、朝の滴。


目のなかの映画と、言葉のなかの台詞と、中央に張り巡らされた関係性の網と、空路の相関図と、実際の地図に浮かび上がる架空の国々と、架空の言語と、言語の架空と、架空の国々に浮かび上がる実際の地図と、相関図の空路と、網の関係性に張り巡らされた中央と、台詞のなかの言葉と、映画のなかの目。


冷たい夜の一杯と、防空壕にせり出した酒場の軒と、砂に手で描いた瓶の柄と、靴の底で踏み締めている柔らかな地面の感触と、夜空に黒く濡れた星と、光と、星に濡れた黒い夜空と、地面の柔らかな感触で踏み締めている靴の底と、瓶の柄で手に描いた砂と、酒場の軒のせり出した防空壕と、一杯の冷たい夜。

June 18, 2010

20100618

大陸みたいな肩。挑発的な視線。



呼吸の血流と明るさの静けさと、大陸みたいな肩と偏西風の項の髪留めと、冷笑しながらも無関心ではない横顔と、片腕をついたその肩から覗く光景と、そこにある遠い夏と、背中と、夜会服の皺と、手の甲と、食卓と、財布と、食器と、前菜と、葡萄酒と、塩と胡椒と蝋燭と、挑発的な視線と、誰かの笑い声。


爪先の記憶に遠回りをしている後ろの正面と、後ろの正面で背中合わせの肺と青春と、風景の平坦な音圧と、自分を聞き分けている目と、横顔と、また別の晩餐と、その時に話し合ったまた別の晩餐の思い出のなかの晩餐に来られなかった誰かがいまようやく入り口まで来た新しい晩餐と、ごった返す人々。


手の甲からほぼ垂直に突っ立つ腕に身を乗り出した肩と、そこにある遠い夏と、そこにある夏の春と、そこにある夜と、そこにある夜明けと、そこにある一日と、一日のある一日と、平穏な景色の音圧と、だだっぴろい広間と、食卓と、椅子の背もたれの上着と、誰かの忘れた腕時計と、持ち主のない時刻。

June 17, 2010

20100617

寝台の情報量。幾重にもなった夜の理由。



当たり前の季節と、季節の当たり前と、当たり前の砂浜と、砂浜の当たり前と、砂のような足跡と、匂いのような飲み物と、感触の光と、音場の奥と、中心を配置していくことと、足先で触れた配置の中心から波で広がる上下と、動きの露と、血管の雨と、地響きの無関心と、平凡で過剰な夜空と、街の酒場。


血管の内側で雨を降っている血液と、夜空に耳を澄ましている口笛と、表情の内側で戸惑いを踏みしめている小鼻と、笑顔の外側で状況を笑っている体と、雨の毛穴と石造りの皮膚と、複製された興奮と、無機質な肉と、機械の目眩と、優しい目覚めと、軽々しい手足と、寝台の情報量と、描線の裏側の光源。


輪郭の微笑と、色の喜びと、囁き声を量っている言葉と、壁の内側にまずは描かれた壁の絵と、壁を隔てている床と天井と、扉を隔てている内側と外側と、体により隔てられた映像と、境界線を突っ走っている汗と、汗を突っ走っている夜の粒子と、幾重にもなった夜の理由を探している夕方の雨だれとうなじ。

June 16, 2010

20100616

比喩と戦っている心。



飛行機の音の着陸と、遠景の近景と、音で見た景色と、目で聴いた音楽と、文字列に浮かぶ顔立ちと、顔立ちから浮かぶ文字列と、輪郭線みたいな姿と、比喩と戦っている心と、生命を含んで重く濡れた死と、生体と、生命を含んで濡れて干からびた詩と、声帯と、声が音もなく着陸する机の上。


平面上もしくは箱の中の細工と、陰影の配置と、道端みたいな空と、日陰みたいな陽だまりと、視覚の空洞と、理性の共有と、水たまりみたいな空と、円形みたいな直線と、直線みたいな夕暮れと、夜の天井と、西の革と、東の鉄と、方角の菱形と、南の出口と、北の鉄道網と、箱庭の空と、洗面台の湖。


時代という戦争と、変化みたいな足音と、真昼の星から目が離せない子供と、静けさに対して踊り続ける女と、歌を研ぎ澄ましている声と、声を研ぎ澄ましている歌と、機械に凍えている負荷と、電信柱みたいな憂鬱と、蓄音機みたいな冷蔵庫と、足音みたいな鼓動と、道のりみたいな一瞥と唾を飲み込む鳴き声。

June 15, 2010

20100615

動線を結んで開いて編んでほどいた洗面所。



一日を目蓋で閉じた五時間の睡眠と、睡眠を通わせている姿勢の安定した電圧と、電圧で口ずさんでいる真夜中の音質と、音質と言う音と、土地の空気によってひどく偏って響く鳥のさえずりと室内の物音と、物音で考え事をしている家具と、家具で考え事をしている人間の動線。


動線を結んで開いて編んでほどいた洗面所と、洗面所の風呂場と便器と、折り畳まれた布や壁の色と鏡の模様と、影の仕草の影と、一日にも似た六月の半ばと、六月の半ばにも似た季節と、季節にも似た七月と、夏の春夏と、予定表と、年表と、前世紀と、個人的な伝説と、古い映画館と、古くもない映画。


空気に寄りかかる体を机で支える両腕と椅子と、風に寄りかかる空気と、気圧に寄りかかる風と、大陸と大洋に寄りかかる気圧と、薄いぺらぺらの形象と、分厚い日光と、重たい埃と、飛行機の音と、音の飛行機と、紙飛行機を真似して作られた飛行機と、生涯を真似して過ごしたみたいな一日。

June 14, 2010

20100614

花束のような骨とか血管。



まるで花束のような夜だねっとまるで花束の代わりにそう言っているような声と、時間と夜と夏の涼しさと、くるぶしから発生して膝と腰から背中から首までを支えている緊張と、緊張を鼻歌で暗譜している帽子と、帽子のつばを挟んだ指と、指が撫ぜている帽子の刺繡と、花束のような骨とか血管。


道を暗誦しながら拍子がずれて奇妙なうねりに巻かれている散歩と、心臓のうねりと、鎖骨の曲がり角と、頸骨で水切りと、耳を暗誦している鼓膜と、呼吸を認証している横隔膜と、無防備な角膜と、景色に慣れては感情を呼び込む自堕落と、新鮮さに対して眠気で挑む奈落と、ところ構わない新鮮な誤爆。


これはまるで夜だねと昼の日射しのなかで言っている半袖と、それはまるで本当の事みたいだねと言っている肘の裏と、光だねと言っている影と、風だねと言っている壁と、形だねと言っている中身と、そうだねとうなずいている外見と、始まりだねと言っている終わりと、終わりだねと言っている始まり。

June 13, 2010

20100613

目と景色の恋の行方。



睫毛で計っている目の表面の温度と、目の前と睫毛が擦れ違う景色と、睫毛で測っている目の前までの距離と、日々の祭りばやしと、街灯と影絵と、中音域の空気と、高音域の神経と筋肉と骨と人体の形にばらばらになった運動同士を結んで描く円弧と、あちこちで円弧に巻き込まれている衣服の踊り。


衣服と衣の夜の茎と、かじかんだままずっと温かい手のひらを鳴らす音と、侵入のための手順と、潜伏のための用意と、祭りばやしの遠くと、夏にかじかんだ手のひらと、気がつけばいつかの手のひらの亡霊が髭剃りや鉛筆を持っている利き腕と、袖から突き出て衣服の踊りの外側で身のこなしの軽い五本足。


睫毛と手のひらの亡霊の恋の行方と、目の上で焼けている景色と、景色に灼けて糞って言っている目と、目と景色の恋の行方と、睫毛が覚えている目の前までの距離と、睫毛が届く距離と、睫毛が冷めない距離で開いている目と、花束のような夜だねっとまるで花束の代わりにそう言っている声と、睫毛の花束。

June 12, 2010

20100612

いつも常に記憶にしか残らない最高の奴と、
いつも常に記憶には残らない最高の奴。



手の平と鉄壁の雰囲気と紙一重の目蓋と、視線の縮尺や移動している地図の一部分の任意の次元での断面と、地図を通して発生していることの全てと、地図を通して発生すべき街区と、地図を通して夜と昼に渡り発生している街区の詳細と、地図の表面で細心の注意を知らずに払われ明らかに発生している細部。


中心以外は存在しない円と、中心の存在しない円と、かたちのない女だとか影しか存在しない友達や、匂いだけする奴と、見た目が三次元空間にそっくりな奴と、残響しか響かない奴と、いつも常に記憶にしか残らない最高の奴と、いつも常に記憶には残らない最高の奴と、人格化と、展開と、ていねいな物腰。


与えられた仕事をそつなくこなす透明の番人と、曇りの気温と人体と空と、無人体と空と、壁に立てかけた自転車と、合成板で組み立てられた簡素な机と、寝椅子と電話と鍵と、奥行きを引き受けている座っている時の視点と、視点で奥行きと鉢合わせた過去に向けての行き止まりと、地図を読む架空の言語。

June 11, 2010

20100611

恥も外聞もない煉瓦。角部屋のどれかの角。



汗と穏やかさの目と、目の穏やかさと、穏やかな日と、日の穏やかさと、空間の測量と、道端のがらんどうと、石や空の色と重さと、乾燥と、生活音と、雑音と、音と、無音と、空気の質感と、目の前で過ぎることのなかった季節と、後先の前後と、後先の全部と、後にも先にもない後先と、先の後先の後。


五感を調整している大部屋と、窓の淵と、十分な日光の水面と、体の重さと被さっている影と、影に被さっている軽さと、軽さに被さっている予感の未知の部分と、人生のなかで何かを予定している時間が占める割合と、予感すらしていなかった出来事と、今も続く予感と、整合性と、前後関係と、成り行き。


気配の夏と、動物の匂いと、積まれた本と、掃除機と、大まかな水平と直角と、色のついた空白と、壁の紐に吊るされている洗濯物と、誰かの忘れ物と、共同の冷蔵庫と、油性筆と、しばらく溜まっている廃棄物と、誰かの用事と、恥も外聞もない煉瓦と、静かな内階段と、空間の呼吸と、角部屋のどれかの角。

June 10, 2010

20100610

不穏さではない期待。



目の中の距離と距離の目と、人工の距離と野生の距離と、色や鳴き声や全長の違いと、人工の速度と未確認の速度と、面積分で合致しつつ三次元的には細分化している内容と、距離の中身と、距離の生身と、距離の死体と、距離のぬけがらと、距離の廃墟に住まう人々と、距離の余白と、距離の拡大解釈。

点線のような日々と、確認の応酬と、水漏れと、水の密度と蒸気と、蒸気の雲と、蒸発した蒸気と、蒸気の点線の拡がりの中で形を仕留めては溶けて消える距離の形成と、距離の未到距離と、距離に横たわっている点線のような日々と、水道管と、火の元と、喉元と、点線のような沈黙と、冷気と、蒸気の汗。

待機と、任務と、空いた飲み物の容器と、明けた夜からの陽気と、殺した息で生きる息の殺し屋と、土や塵となった紙切れやいつの間にか粉砕されていた色とりどりのかけらが身を寄せ合っている自転車置き場と、自転車と、季節の完全な胎内で常に寝過ごすことを運命づけられた不穏さではない期待。



街と平衡と、待ちと閉口と、逆から見た距離と、距離と向かい合うために必要な距離と、精算の手段を次々と提案しつづけるだけの距離と、さっきからひとことも話していない距離と、現在地の距離と、距離感ではない距離と、遠さではない距離と、操作ではある距離と、分身した距離と、反復する距離。


鳥肌を掴む窓からの外気と、乾燥の音響と、ずっと一歩後ろから瞬間に向けてしなり続けている永遠と、 外気と、とらえどころのない眠気と、とらえどころのない眠りと、油断も隙もとらえどころもない一日と、一日を空輸している太陽と、一日を密輸している反射光と、密輸されたままの一日。


風向きと一日と、仰角の水平線と、街と角度と、一致と臨場感と、言語の外側と、輪郭の見取り図と、洗濯物と小銭と、冷蔵庫と空瓶と、鞄の空きと、春の秋と、石鹸と水道と、紐と誰かの上着と、空間と、空間の内側に込められた驚きの空砲と、空砲の驚きと、冷えた飲み物と、扇風機と、誰かの小さな勝利。

June 9, 2010

20100609

千年の途中と、途中の千年。



綿花と気候と日中の気温と寒気と長袖と髪の毛と、笑いながら沈黙を守っている宣言文と叙述と放射熱と放心と方針と、数字のような文字列と、文字を並べ替えながら徐々に育っていく見えない書物と、弾丸をかいくぐりながらも飛び交う綿花に対しては無風な身のこなしと、千年を数え終えた一日。


一日を終えた千年の風貌と近寄り難くも恫喝的ではない語調と、石造りの歩幅と、人の形をした涙と、汗の形をした体と、口のなかの握力と、体重の密度と、服の着丈で測ってみた一日の長さと、千年の長さで測ってみた一日の午前中の太陽の光の色の静謐さの中に均された不穏さの希望と、居心地の悪い百年。


千年でようやく測り終えた一日の長さの時計の外で測りきれなかった残りの日々と、不穏さではなかった希望と、褪せて輝いてくすんだ神経質な発作の笑いで練っている迂闊な胸元に溶けるように沈み込む掌底と骨ばった甲に浮かび上がった腱と、心臓で測った千年と、千年の途中と、途中の千年。

June 8, 2010

20100608

曲率と円周の水面を軽い筆致で波紋を打って踊る鉛筆の炭素で浮かぶ素描と、素描の表情で昨日を微笑む明日を今日は忘れている利き腕の添えられた指と、鉛筆と並んで水面を打ちながら踊る指先と、瞳の上の水面を循環する散弾の論法の飛び石の軌跡が絡まりながらも決してもつれることのない鮮やかな描線。


水面の影と印象と、水面に映る表面に似た心に似た実像に届く触覚で交わる蜃気楼の媒体と、骨や脊髄の芯で結ばれる時間の構造と、水面がそこにあるからその表面に映る景色と、姿がそこにあるからその表面に映る景色と、心がそこにあるからその表面を内側で感じる気色と、無邪気で即物的で罪のない笑顔。


水面の微笑みの波紋を打って重さもなく踊る筆先と指先と、水面の摩擦で溶け合う炭素と皮脂と、点線が滲んで結ばれた直線が滲んで描かれた弧線と、弧線が滲んで現れた目鼻立ちと、目鼻立ちが滲んで愛しさに溶けていく瀬の騒と、瀬がそれ自身の縁に沿って描く地勢と、故郷を持たないという嘘の感傷の嘘。

June 7, 2010

20100607

地上みたいな夏。



花束の影絵で生きる模様の通り雨に潤う路面に硬い節々と、息の詰まる肩越しの風速の涼しさに描線の渦を結んでは頬の熱に溶ける夜景と、鮮やかな白黒と酸味のある酸素に照り返す透明の裏表と、広告に切り取られた場面の向こうで予告編がいまも続く長回しの日々と、お喋りに浮かんでは消える様々の名前。


名前と軌道上の夏と機械に触れている爪と画面と配列の魂と字体と、広告みたいな地表と目線と人通りと戦線と、無人であることを選んだ基地と電文を包帯がわりに夜の明けない目の中のかがり火と、見えない義肢と見えない対象の印象で見えている義象と触れ合う前線と、義象を義人化している体内での姿。


実際のものとは違うが実在している惑星の青に溶け込む街の騒然とした回路を足を引きずってだらしなく歩いている通り名と、抽象の頻度で改まる俯瞰図に拡大される細部と、自転車と躯体と、缶と耳たぶと、これまでどこかに連れて行き損ねた忘れ物で今溢れ返る部屋と、同じく誰かの忘れ物みたいな現在形。

June 6, 2010

20100606

人工物も自然現象であると捉える。



花束の影絵で生きる模様の通り雨に潤う路面に硬い節々と、息の詰まる肩越しの風速の涼しさに描線の渦を結んでは頬の熱に溶ける夜景と、鮮やかな白黒と酸味のある酸素に照り返す透明の裏表と、広告に切り取られた場面の向こうで予告編がいまも続く長回しの日々と、お喋りに浮かんでは消える様々の名前。


名前と軌道上の夏と機械に触れている爪と画面と配列の魂と字体と、広告みたいな地表と目線と人通りと戦線と、無人であることを選んだ基地と電文を包帯がわりに夜の明けない目の中のかがり火と、見えない義肢と見えない対象の印象で見えている義象と触れ合う前線と、義象を義人化している体内での姿。


実際のものとは違うが実在している惑星の青に溶け込む街の騒然とした回路を足を引きずってだらしなく歩いている通り名と、抽象の頻度で改まる俯瞰図に拡大される細部と、自転車と躯体と、缶と耳たぶと、これまでどこかに連れて行き損ねた忘れ物で今溢れ返る部屋と、同じく誰かの忘れ物みたいな現在形。

June 5, 2010

20100605

一日の視覚の揺れている真正面で捉えている真ん中のさなかの回りでそれぞれ弧を描く線を点の集まりとして見つめている目と、目のまわりに宿った体と、眼球を中心に開いている鼓膜と、鼓膜の夜の網膜の役割を果たしている窓際の湾曲した景色の水と、点のなかに開いては目を閉じて目蓋だけを開く沈黙。


瞬間の点で捉えた線と、線の角度に見出した立体と、立体の重なりに遷移する時間と、時間の遠近法のなかで視野を確認している実感を点に閉じて線を導いて面を開いては時間と流れている視覚と死角の狭間と、遠心力の空の縁で更に細かい回転を絞り込みながら拡散していく粒子状の地上の夜と、地上の空。


許す限りの視覚の許す限りの死角と、視覚に塗り込む死角と、死角を描く視覚の遠いものを遠いままに遠くで添いながら遠くを摘んでいる知覚と、単色につぶされた光点に浮かぶ線の角度を重ねて立体を捉まえては時間に流す落ち着いた静止の心構えと、視覚に忘れ去られた全身を包む死角を感じている肌。

June 4, 2010

20100604

ひとつまみれ。



午後と試みの朝と光と端末と、熱と音楽と生命力と、いつも頭の中で踊っている枯れず育たない若い永遠の芽っこと、水分に跳ねた波紋の中心に向けて揺らぐ平面の足踏みも刷り足もない肩での踊りと、感情線と生命線と中央線と、季節がその中央で居眠りをしている日溜まりの陰のあくびで喋る緩慢な日々。

早回しの空回りと絡まった手足が見えない波形の歩道と編集と、蕎麦の様な身体と麺つゆのような湿度と、結局は電線をほぐしている電気と被膜をついばんでいるくちばしの鋭角の唾液を暴力的に挟み込んだ羽毛と、羽毛の軽さで落ちているそれぞれの羽ばたきで空しいひとつまみの距離と、距離を真似る心。

距離に隠された秘密と話し込む足取りと、距離を真似ている心と、零の距離を真似ている心に映し出された体の各所で暴発している企みを持たない無言の裁断と、理由で受け流した意味の深くで目的を果たしている事にも気がつかない先取りの憂鬱のせいで自覚のない後悔と、午後の試みの朝に描いてみる夕べ。

June 3, 2010

20100603

さなかの花の色水と、波と空想と部屋と人の形と、言葉に伝わる動物と仕草と球体の回転と光の移動と、足下から髪の毛までの自由と、色で壊れた人通りの輪郭線にくくられた国道の地平線と、両腕で繋がった背筋の骨の数だけ積み上げられた神経の全身を湿らせる水脈と、芽吹いている土の様に露出した黒目。


黒目に咲く花と黒目に降る雨と、瞬きで手入れされた地表の肥沃な感受と無感情な恵みと、無感情な恵みにも潤った地下水面のさざめきの滴の形からほどけた視神経の唸りに震えた手前から更に手前に向けて伸びる奥行きと、その奥行きを手前で受け止める後頭部から目蓋が痺れて一切がはっきりする無断の音。


無断の音を見分けている景色の形をした黒目を目蓋で閉じているひとがたを着こなしている半そでと、半そでの強弱で格好をつけている肘の関節と、関節の形で整えられた重力の腱の柔らかで丈夫な組織と、重力を乗りこなす体重と、体重を乗りこなす視力と、視力を乗りこなす目のうちの二つ。

June 2, 2010

20100602

血まみれの体内で鳴っている音と、中身で響いている振動の空気と、沈黙の配置で場を制御する語り手を制御する思い出の一場面の舞台と楽屋と、炭酸水と折り畳み椅子と、記憶にとっては沈黙でしかないその一場面の限りのない反響のなかで震えが震えを呼んでいる震えと、今も人称代名詞を探す熱心な沈黙。


鏡と大陸と時間の技術と、肺と胃袋と人差し指と親指と、空腹と思考と、醸造と保存と、液体を凍らせて作った容器の中で凍り付きながら容器を溶かしている液体と、かつて容器の部分であった液体と、それを丸ごと冷凍庫に放り込むぞんざいな手つきの間借り人と、凍り付いた液体の容器の中で凍りつく液体。


沈黙の場面で記憶を演じる舞台で楽屋と共に凍り付いた残響と、凍り付いている残響が震えている体内をやがて凍結させる時間の技術と、必要に応じてそれを解凍している空間の作法を凍らせている残響を砕いた瞬間を凍らせた反復に凍り付いている原音と、凍り付いた容器の中で今も確実に温い血塗れの体内。

June 1, 2010

20100601

原色の白黒の面影のいつも寂しそうな表情の背骨で流れている一つの肉体の川と、時間よりも正確な頭の芯と、その中でさっきの先をずっと数えてる今のありかを目指していたさっきと、夜風とかさぶたと短い靴下と突っかけと、歩道を塗り分けている看板。


看板を肉付けしている欲望の根拠の乾いた舞台裏の白け切った空気と、街をせき止めている建物と、気圧と湿度と上着と、人間をせき止めている体と、体をせき止めている運動と、運動をせき止めている完全な静止と、静止を色付けしている緩慢な拍手と、拍手をせき止めている満員の会場と六月の空の弧。


六月の空の弧をなぞるつもりで腕を力いっぱい振り回して見た人影と、線に遮られることのない新しい輪郭にこめられた形と、寝そべって横向きに階段を見ているような街角と、全て幻聴のように響く人々の話し声や物音と、反射神経に対して辛うじて本人であると分かる見ないで描いた景色を見てる誰そ彼。



「アリスの国のワンダーランド」と入力する。「アリス」は固有名詞、「ワンダーランド」は一般名詞か固有名詞、「の国の」は助詞と一般名詞でここを「in」とすれば世界は元に戻る。アリスは女の子で想像通り想像上の姿をしてる。「不思議の国のワンダーランド」には彼女がいない。