20100630
入場するとそこに立っている逆光の姿。
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手元で眼球をもてあそんでいるみたいな広場と、斜めから切り込む柵と、椅子の青と赤と、色の緑と、白の綿花と、空気の色の全てと、いま覚えている全てと、まだ覚えていないことの全てと、この先忘れていくことの全てと、投函していない手紙が届くのを待つ人と、投函されていない手紙が届くのを待つ人。
手紙みたいな眼球が選んだお気に入りの窓際と、その外でたっぷりと空まで水に浸かった景色と、酸素を意識した呼吸と、呼吸を意識した胸元と、胸元を意識した夏服と、夏服を意識した初夏と、初夏を意識した夏日と、夏日を意識した低温と、低温を意識した低音と、低音を意識した歳月と、歳月と数行。
入場するとそこに立っている逆光の姿と、そいつが写り込む雑誌の見開きと、その見開きが閉じられた膝を包む繊維と、それぞれの波頭で過ごす昼夜と、昼夜で過ごす床の上の徒労と、床に座り込んで机の上をまさぐっている不眠症患者と、眠りが眠っている不眠症患者の眠りと、誰かの別の人の目覚め。